前回の投稿でも説明しました通り、現代の自動車産業においてモジュール化は一大潮流となっております。

ただ「モジュール化」といってもその定義は非常に多岐にわたります。その中でも筆者はハーバード大学のボルドウィン・クラークの共著、安藤晴彦氏の訳による『デザインルール・モジュール化パワー』(2004)の中で説明する「パラメーターとタスクがユニット(モジュール)内部では相互依存を持つが外部からは独立している特殊な構造体である」という定義が、モジュールの製品アーキテクチャー的特徴を良く定義化出来ていると考えております。

また、武石・藤本・具(2001)らは、モジュール化に関して以下の3つの分類を行っています。

1.製品アーキテクチャーのモジュール化

2.生産のモジュール化

3.企業間システムのモジュール化

1の製品アーキテクチャーのモジュール化と、2・3生産に関する分類の間には、明確な違いがあります。2と3の相違点は、モジュール生産を内部化するかアウトソースするかという違いであります。3の企業間システムのモジュール化とはまさにモジュール生産のアウトソーシングのことでありますが、自動車産業においてはこの「生産のアウトソーシング」の事をモジュール化の本流であるとの認識が強いように見受けられます。具体的に3番の製品のイメージに合致するのが「フロント・エンド・モジュール」や「コクピット・モジュール」といった比較的大型のモジュール製品であります。

現在VW等モジュール戦略において最も先進的であると推測される自動車メーカのコンセプトは、このような大型の製品群にとどまらず、細分化とその共通化が進んでいます。

次回は現在に至るまでの「モジュール化」の歴史についてまとめてみたいと思います。

 


参考文献

武石彰・藤本隆宏・具承桓(2001)「自動車産業におけるモジュール化-製品・生産・調達システムの複合ヒエラルキー」

ボルドウィン・クラーク、安藤 晴彦訳(2004)『デザイン・ルール モジュール化パワー』東洋経済新報社